加藤流 振り飛車撃破
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「棒銀」ファンに送る |
加藤一二三先生が、かねてから執筆中であると喧伝?されていた対振り飛車の急戦戦法の集大成です。
しかし、対三間飛車に対しては特に章がありません(泣)。基本的には対四間飛車と同じ指し方で向かえということでしょうか。また、中飛車に対しても、3八飛車から歩を交換しての3六飛車−3七桂型の指し方のみで10ページ程度、対向かい飛車棒銀も16ページ程度に留まっています。
というわけで、タイトルは、「加藤流振り飛車撃破」なのですが、重点は『対四間飛車棒銀』にあります。ここには、多くのページを割き、棒銀での新しい定跡も提案されておられます。
ここは、手順を追うだけで、対四間飛車棒銀の破壊力が存分に楽しめ、四間飛車に棒銀を指してやろうという気になって来ます。
ただ、!急戦という戦法の性質上仕方がないのですが、後手番での応用は(相手が無駄な手を指さなければ)少々難しいものとも思います。
最後になりましたが、最終章、実践編には、加藤先生の解説付の棋譜が6、解説なしの棋譜が6、合計12の棋譜が収録されています。
この棋譜を盤に並べるだけでも、何か元気が出てくるような、加藤先生らしい棋譜となっています。
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永遠の神童、大いに遊ぶ。 |
捌きの思想を主張する振り飛車戦法に、重く力強く真っ向からねじ伏せに行くのが、皆さんご存じの加藤流である。加藤九段のファンには、時に偉大な父を、時に愛くるしい我が子を見いだすかのように加藤九段を応援するという「母性」の愛棋家が数多い。これは加藤九段の将棋が永遠の「元気満点男の子将棋」だからではないか。自分のスタイルを貫いてしかもそれを長くプロの第一線で保ち続けるというのは、プロ棋士のひとつの理想だと思う。それを実践している加藤九段は魅力があって当然だともいえよう。その加藤九段ファン待望の振り飛車破りの本がついに上梓された。
このシリーズには、例によって技術的な部分の手堅さもさることながら、各著者の「個性」をテーマにしているようなフシがある。この本も例外なく、「この局面を加藤流ならこう指すのだ」という、著者自らも言うところの「力強さで打開する」はっきりとした主張があり、個性がある。これは読み手にとって嬉しいことだ。
本に収録された手順は実戦で役にたつばかりではなく、「加藤流」という将棋界の一大個性のその息吹を感じることができる。この体験は、稚拙ながらも自分の将棋というものを探している私たちにとって、必要なことだと思う。単に振り飛車破りガイドとしても読め、加藤流の演義書としても読めるこの本は、読んで良し、並べて良しの好著にまとまっている。ファン待望の、いやファンならずとも一読の価値ある著書と思う。読むと元気が出ますよ。おすすめ。

